健康福祉確保措置とは|36協定の10項目一覧と記入例

健康福祉確保措置(限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置)は、 特別条項付き36協定で必ず定める措置です。2026年9月1日からは、この措置の記載・実施状況が労働基準監督署の監督の重点になります。

自社の措置が「記載・実施・記録」まで揃っているか、4ステップで自己点検できます。

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なぜ今、重要になったのか

厚生労働省は2026年8月19日、月45時間以内への一律の監督指導を9月1日から見直すと発表しました。 今後の監督では「時間数を一律に見る」代わりに、健康福祉確保措置が協定に具体的に記載され、実際に実施され、記録が残っているかが確認されます。 つまりこの措置は、これまで「協定届の記載欄の一つ」だったものから、監督対応の中心に変わります。 変更の全体像は「一律指導の見直しとは」をご覧ください。

10項目の一覧と記入例

様式第9号の2の記載心得に示された選択肢は次の10項目です。番号を選ぶだけでなく、具体的な内容の記載が求められます。

番号措置記入例
医師による面接指導限度時間を超えて労働させた労働者に対し、医師による面接指導を実施する。
深夜業(22時〜5時)の回数制限限度時間を超えて労働させた労働者について、深夜業の回数を1か月に4回以内とする。
勤務間インターバル終業から次の始業までに11時間以上の継続した休息時間を確保する。
代償休日・特別な休暇の付与限度時間を超えて労働させた労働者に対し、1日の特別休暇を付与する。
健康診断の実施限度時間を超えて労働させた労働者に対し、健康診断を実施する。
連続休暇の取得促進年次有給休暇について、まとまった日数の連続した取得を促進する。
心とからだの相談窓口の設置心とからだの健康問題についての相談窓口を設置する。
配置転換労働時間が長い労働者について、業務負担の軽減のため必要に応じて配置転換を行う。
産業医等による助言・指導や保健指導限度時間を超えて労働させた労働者に対し、産業医等による助言・指導や保健指導を受けさせる。
その他上記①〜⑨に準ずる措置を具体的に記載する。

記入例は一般的な書き方の例です。実際の記載は自社の運用に合わせ、厚生労働省の記載例(様式第9号の2)を参照してください。

実務のポイント:記載・実施・記録の3点セット

  1. 記載:「①医師による面接指導」と番号を選ぶだけでは足りず、「限度時間を超えて労働させた労働者に対し、医師による面接指導を実施する」のように対象と内容を具体的に書きます。
  2. 実施:特別条項を発動した月(限度時間を超えた月)に、対象となった労働者へ協定どおりの措置を実施します。
  3. 記録:実施状況の記録を作成し、協定の有効期間中およびその満了後も保存します(原則5年・当分の間3年)。

この3点が揃っているかは健康確保措置チェック(4ステップ)で点検できます。 あわせて残業時間そのものの上限チェックは36協定チェッカーをご利用ください。

よくある質問

Q. 健康福祉確保措置は必ず定めないといけませんか?

A. 特別条項付きの36協定を結ぶ場合は必ず定める必要があります(様式第9号の2に記載欄があります)。限度時間(月45時間・年360時間)の範囲内でのみ協定する場合は、この欄自体がない様式第9号を使います。

Q. 10項目のうちいくつ選べばよいですか?

A. 法令上は1つ以上を協定すれば足りますが、対象労働者の健康確保の実効性から、複数の措置を組み合わせる企業も多くあります。重要なのは数より、選んだ措置を具体的に記載し、実際に実施し、記録を残すことです。

Q. 「実施状況の記録」はどのくらい保存が必要ですか?

A. 協定の有効期間中およびその満了後の保存が求められます(原則5年・当分の間3年)。2026年9月からの監督指導では、この記録の有無が確認の重点になります。

Q. 勤務間インターバルは何時間にすべきですか?

A. 法令で一律の時間数は定められていませんが、労働時間等設定改善法では9時間以上、健康確保の観点からは11時間が一つの目安として広く紹介されています。自社の勤務実態に合わせて労使で協議して定めます。

措置の点検が済んだら、残業時間の上限もチェックしておきましょう。

36協定チェッカーで確認する

参考資料